【愛着形成】タッチケアで重度知的障害・自閉症の方が自傷をやめてくれました

私は障害者の就労継続支援施設(就労継続支援B型、生活介護)で働いています。

就労継続支援施設には特別支援学校高等部の学生さんが時々実習に来られます。期間は5日間くらいで、実習生さんの様子に応じて特別支援学校の先生が付き添ったり、実習生さんが一人で通所したりしています。

今回は私が「タッチケアって凄い!」と感動したことがあったので、それについて綴らせていただきます。

重度知的障害のある自閉症の方の自傷行為が見ていて辛かった

個人情報なので詳しいことは書けないのですが、先日私が勤務している施設で5日間過ごされた実習生さんは重度知的障害がある自閉症の方でした。

特別支援学校の先生が付き添っていた間は安定していました。その間、私は笑顔で「わー、上手に出来たね」「すごいね!」と優しく声を掛けるようにしていました。

特別支援学校の先生の付き添いがなくなり、一人で通所したその日から酷い自傷行為をするようになり、奇声を上げて部屋の角で全身をタオルケットで隠して蹲っていました。

みどり
その様子を見ていると本当に胸が痛くなって「可哀そう…。」と感じました。その実習生さんの目には世の中の様子がどのように見えて、どのように感じているのかと思いました。知らない世界に対しての恐怖でいっぱいなのだと感じました。

他の職員さんを振り払い、私の手を掴んで助けを求めてきた!

実習中盤、その日も自傷行為と奇声で大変な様子で、パーテーションで囲って安定するように見守っていました。すると突然、私のところに跳んでやってきて私の手を掴みました。

みどり
私のところに来てくれたのは、手の消毒や食事の配膳の時などで実習生さんと話す機会があった時に「上手に出来たね!」「すごいね!」と前向きな声掛けをしていたので、私に親近感を持っていたからだと思います。

私は驚きましたが、よく見ると実習生さんの顔は笑っていました。一度は別の職員さんに連れ戻されましたが、実習生さんは再び私のところに跳んできて手を掴んだので、私は手を優しく握り微笑みました。

実習生さんは私が横に座ると安心した様子で、私に顔を近づけて目いっぱい笑ってくれました。

その顔が可愛くて、私が頬を撫でて頭を撫でると、とても嬉しそうに笑い返してくれました。

それからずっと手をさすり肩を撫でてしばらく座っていると、実習生さんは嬉々として跳びあがり、笑っていました。

私が頬を撫でたその次の日から自傷行為をしなくなった

私が頬や頭を撫でて、目と目を合わせて微笑んで、手を握り、肩をさすった日のその次の日から、実習生さんは自傷行為をしたり奇声を上げたりしなくなりました。

他にも色々な問題はあるのですが、一番見ていて辛い自傷行為が無くなったのは本当に良かったです。

昔、何かで読んだ「タッチケア」を思い出しました

その一件があり、私は昔勉強した「タッチケア」のことを思い出しました。

何で読んだのかを思い出すことが出来ないのですが、その内容は『重度知的障害のある自閉症の方で、酷い自傷や他害行為があり、感覚過敏で服も着られない方に対して、愛を込めて温かい表情で「タッチケア」しているうちに、その方が次第に他者を受け入れるようになり、コミュニケーションを取ろうとするように変わっていった』というものです。

みどり
昔、ネットサーフィンしている時に読んだ記事の内容で、探してみましたが見つけることが出来ませんでした。しかし、とても感慨深いものだったので、内容は覚えています。

「タッチケア」って凄い!改めて調べてみました

幸せホルモン「オキシトシン」と「セロトニン」の分泌

人は優しく触れられると「幸せホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」や「セロトニン」というホルモンが脳内で分泌されます。

「オキシトシン」は「愛情のホルモン」と呼ばれており、親子の絆、他者への信頼感、愛着の形成に関与するホルモンです。

みどり
猿の毛づくろいもオキシトシンの効果らしいです。公益財団法人母子健康協会のWebサイトに詳しいことが掲載されています。とても分かりやすいので、ぜひご覧ください。
一方、「セロトニン」は精神の安定や睡眠に関わるホルモンで、ドーパミン(増えすぎると過度な興奮を招くホルモン)を落ち着かせるという大切な役目を持っています。
みどり
調べてみると「セロトニン」は「メラトニン」の原料らしいです。(詳しくはこちらのWebサイトでご確認ください。)以前、『赤ちゃんが寝ない!自閉症の我が子の睡眠障害について』の記事で「メラトニン」の分泌が眠りに影響を与えるということについて記載しています。優しく触れることによって「セロトニン」が分泌され、リラックスした状態になって、睡眠も促されるのですね。タッチケアの効果って凄い!

みどり
タッチケアについて調べている時にこの本も読んでみました。発達障害のある方は体幹を上手く使えなかったり、低緊張と過緊張があったりして、体に歪みが出ている人が多いようです。(そのために療育で感覚統合をするのでしょう)著者の三宮華子さんは整体師さんで、発達障害のある子どもに対しての整体(タッチケア)で体の緊張が緩み、歪みが取れて姿勢が良くなると書かれています。また、タッチケアによるリラックス効果についても載っています。ぜひ読んでみてください。

愛着形成

愛着とは?

イギリスの児童精神分析学者ボウルビィは、子どもが母親や母親に代わる人に、ほかの人に対するのとは明らかに異なる特別な行動を示すのは、「愛着(アタッチメント)」という情緒的な絆ができているためだと解釈しました。循環的な相互の働きかけ(相互作用)によって自然に強められていく母子の愛着(アタッチメント)は、子どもが人間一般に対して抱く基本的信頼感の基礎となります。

アメリカの心理学者ハーロウは、愛着に関する実験として、生まれたばかりのアカゲザルを母親から隔離し、授乳ができる針金製の人形と柔らかい布製の人形という材質の異なる2種類の代理母親のもとで飼育しました。その結果、子ザルは授乳時期を除き、布製の人形に明らかな愛着を示し、乳児にとって、具体的接触(スキンシップ)による快感が、睡眠や食欲などと同じ生理的欲求であることが明らかになりました。

みどり
保育士試験の時に勉強したボウルビィの愛着。母子の愛着形成は人間関係の基礎だと改めて思います。過去に『療育で教わった親子マッサージについて』の記事で親子マッサージについても記載させていただきました。親子の愛着形成が基礎となり、そこから他の人に対しても心を開いて人間関係を広げていけるのだと思うので、赤ちゃんの時期に親子マッサージをしてあげるのはとても高い効果があると思います。また、赤ちゃんでなくても、子どもも大人も、スキンシップによって相互の愛着や信頼関係を築いていけると思います。公益財団法人母子健康協会のWebサイトでも障害児に対してのタッチケアが効果があったという内容が記載されていました。

まとめ

私が重度知的障害・自閉症のあの実習生だったとして、気持ちを汲み取ってみたいと思います。

普段は特別支援学校に通っています。しかし、ある日就労継続支援施設に連れて来られました。

普段のクラスより沢山の人がいます。ザワザワと煩く声が響き渡っています。(感覚過敏)全身に不安が広がり、自分の心と体を上手く制御できません。

言葉でその不快な気持ちを周りに上手く伝えることが出来ません。
なんで上手く出来ないんだろう。自分に対する否定的な気持ちが生まれてきます。
その嫌な気持ちを紛らわせるため、自傷行為を始めます。
知っている人がいない、誰か助けて!
不安な気持ちと戦っている中、私の声かけで私に対して信頼感を持ってくれたのかと思うと、肯定的な声掛けは言葉によるコミュニケーションが取れない人に対してもとても大切なのだと改めて思いました。
また、自閉度の高い自閉症の方でも、周りに対してヘルプを求めていることを知りました。
スキンシップを通して愛着が形成され、そしてその愛着を礎に周囲に対する安心感を持ち、人間関係を広げていけること知りました。
これからも今回の経験や愛着形成やタッチケアの理論をもとに、障害者の方々を支援していきたいと思います。
また、障害のある我が子に対しても忙しい育児の合間にスキンシップの時間を大切にしたいと改めて思いました。
読んでくださり有難うございました。

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