障害児の卒業後の進路について(継続支援B型事業所を見学した感想)

以前、私は就労継続支援B型施設を見学させていただきました。今回は障害児が特別支援学校高等部を卒業してからの進路について調べたことや見学させていただいた感想などを綴らせていただきます。

卒業後、どんな進路があるのか

特別支援学校高等部を卒業した後の障害者の進路先は大きく分けると一般就労するか福祉サービスに通所するかのいずれかになります。一般就労する場合も福祉サービスに通所する場合にも、障害者手帳が必要になります。

※障害者の一般就労は障害者雇用促進法に基づく雇用になります。障害者雇用促進法により、雇用主は障害のある人への合理的配慮の提供が義務付けられています。

一般就労

2018年、「障害者雇用促進法」が改正され、民間企業や国・地方公共団体などの障害者の法定雇用率が引き上げられました。(民間企業は2.2%→2.3%、国・地方公共団体は2.5%→2.6%、都道府県などの教育委員会は2.4%→2.5%)

厚生労働省は2023年1月、障害者の法定雇用率を段階的に引き上げることを決めました。民間企業の法定雇用率は2024年4月からは2.5%、2026年7月に2.7%になります。(国・地方公共団体の雇用率は2.6%→3年後に3%、都道府県などの教育委員会2.5%→3年後に2.9%)

障害のある人の一般就労の場は今後も増えることが見込まれています。※令和5年12月に厚生労働省から発表された障害者雇用状況の集計結果によると、雇用障害者数・実雇用率が前年度より上昇して過去最高を更新しており、障害者雇用が促進されている状況が推測できます。

みどり
平成30年3月に特別支援学校高等部を卒業した障害者の進路状況が文部科学省のホームページに掲載されていました。そのデータの中によると、知的障害のある方が高等部卒業後に一般就労した割合は全体の34%です

特例子会社

一般就労をする人の中で一番多い就職先は民間企業ですが、その次に特例子会社に就労する人が多いです。

特例子会社とは、親会社が障害者雇用促進法の法定雇用率を達成するために設立した子会社です。特例子会社には次のような特徴があります。

  • 設備面ではバリアフリーの整備がされており、また勤務時間の面では短時間勤務やフレックスタイム、通院のための休暇などの制度が整えられており、障害者が働きやすいよう配慮されている
  • 障害の特性に合わせた業務が選定される
  • 障害がある人同士でコミュニケーションがとりやすい
  • 業務についての支援や指導を行う指導員が配置されている

福祉サービスへの通所

福祉サービスには障害者総合支援法に基づく「訓練等給付」と「介護給付」があります。

「訓練等給付」には就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型自立訓練などがあります。また、「介護給付」には生活介護などがあります。

就労移行支援

就労移行支援では、一般企業などへの就職等を目指す障害者が次のようなサービスを受けることが出来ます。サービスの利用期間は原則2年です。ただし、必要と認められた場合には最大1年間更新が出来ます。

  • 職場で必要となる知識やスキル向上のための訓練を受ける
  • 求職活動に関する支援を受ける
  • 適正に合った職場を探してもらう
  • 就職後、職場に定着できるように相談支援を受ける

就労継続支援A型

就労継続支援A型は就労移行支援の利用期間中や、特別支援学校卒業後に就職が決まらなかった障害者が利用できるサービスです。就労継続支援A型事業所と雇用契約を結んで働くため、最低賃金が保証されます。利用期限の制限はありません。

なお、就労継続支援A型と就労継続支援B型の平均工賃は、令和4年度の厚生労働省の調査によるとA型が月額83,551 円、B型が17,031円です。

就労継続支援B型

就労継続支援B型は年齢(50歳以上)や体力、障害の程度などの理由で雇用契約を結んでの仕事が難しい障害者が対象となるサービスです。雇用契約を結んでいないため、障害者本人の体調に合わせて比較的自由に勤務日数や勤務時間を調整して働くことが可能です。利用期限の制限はありません。

自立訓練

自立訓練は、知的障害や精神障害、身体障害や難病などの障害がある障害者に対して、地域生活を営む上で必要となる生活能力(服薬管理や体調管理、金銭管理、日常生活動作、家事など)の維持・向上等のための訓練をするサービスです。サービスの利用期間は原則2年です。ただし、必要と認められた場合には最大1年間更新が出来ます。

生活介護

生活介護は、障害者総合支援法の障害支援区分が3以上(50歳以上は区分2以上)の常に介護を必要とする障害者が日中に排泄や食事、入浴等の介護を受けたり、創作活動や生産活動の機会を得ることが出来る福祉サービスです。

卒業後に就職相談できる機関

特別支援学校に在学中であれば、進路指導担当の先生や担任の先生に相談します。卒業後はハローワーク障害者就業・生活支援センター地域障害者職業センターで就労に関する相談をすることが出来ます。

また、市区町村の窓口で福祉サービスに関する相談をすることが出来ます。

就労移行支援・就労継続支援B型施設を見学した感想

見学させていただいた様子

私は近所にある就労移行支援・就労継続支援B型施設の見学させていただきました。

就労移行支援を利用されている方々は、事業所が運営しているカフェで接客をしたり、事業所で履歴書を書いたり、事業所が作っているお弁当を関連施設に届けたりされていました。

就労継続支援B型を利用されている方々は、グループで近隣の公園に行って清掃活動をしたり、自分たちが食べるお昼ご飯や関連施設で提供するお弁当を作ったり、事業所内の掃除や洗濯をしたり、事務作業をしたり(紙を切ってメモ帳を作ったり、シュレッダーをかける作業等)、他の業者から受託している商品や試供品を作ったり、ハンドメイドの雑貨の製作をされていました。

日々の作業は月曜日は調理、火曜日は清掃、水曜日は事務という感じで、日によって様々な作業が出来るように分担されていました。

職員(生活支援員や管理栄養士等)の方々は利用者の方々の様子を見守って作業のアドバイスをされていました。施設の雰囲気は和やかで利用者の方々は落ち着いて業務をされていました。

伺ったこと

その施設では日々の作業訓練だけではなく、遠足や宿泊合宿、スポーツフェスティバル、模擬店、クリスマスパーティなどのイベントも実施されています。障害がある方々が楽しく通所し、楽しくコミュニケーションができるように配慮されていると思いました。

特別支援学校高等部3年生になると、近隣のいくつかの事業所に1週間ほど実習に行きます。卒業後の進路については、通所する施設に馴染むことが出来るかということがとても重要なことなので、色々な施設を早めに見学に行って、施設の特色や雰囲気などの情報を集めておいた方が良いと施設長の方がアドバイスをくださいました。

まとめ

健常者の多くの人は高等学校を卒業した後、大学や専門学校等に通います。しかし、障害者は高等部を卒業すると社会に出ていくことが一般的です。高等部を卒業した時にはまだ18歳、そして障害もあるということから、障害者の就労は大変だと思います。障害者本人の障害特性に合った職場で働き、そして障害特性を職場に伝えて可能な場合には配慮してもらうことが大切だと思いました。

現在我が子が通っている特別支援学校の担任の先生が進路指導の学年を担任していた時に、どの施設長、店長、社長からも皆共通して「共に働く仲間と仲良く和を保てることが大切。作業や活動上のスキルアップは入ってから慣れて出来るようになるので、それよりも人間関係を築けることが重要だ」と言われたそうです。

18歳で卒業してから、就業先や事業所に安定した気持ちで通所し、仲間と和を保って働くことが出来るように、子どもの間に自己肯定感や社会性や協調性を育んでいくことが大切だと思いました。

読んでくださり有難うございました。

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