今回は障害のある我が子が大人になり、そして親なき後となった時、我が子にはどのような居住の場があるのか、現状を調べてみたいと思います。
障害者の住まいに関する法制度
障害者総合支援法
2013年、障害者総合支援法が施行されました。障害者総合支援法には次の基本理念が冒頭に示されています。
第一条の二 障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的に行わなければならない。
障害者総合支援法にはこれまでの障害の定義に難病が加えられ、障害者が必要としてるサービスを明確にするために「障害支援区分」が定められました。
障害者総合支援法により提供されるサービス
障害者総合支援法に規定されている福祉サービスは、①自立支援給付と②地域生活支援事業の2種類に分けられます。
自立支援給付
自立支援給付は障害者総合支援法第6条により「介護給付」と「訓練等給付」、「自立支援医療」、「補装具」、「地域相談支援給付」、「計画相談支援給付」などが定められています。
- 「介護給付」
居宅介護(ホームヘルプ)や重度訪問介護、行動援護、同行援護、生活介護、短期入所(ショートステイ)、施設入所支援など施設入所支援は障害者総合支援法の5条10項に「主として夜間において、入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。」と定義されています。
同施設内に日中活動の場が併設されている場合が多く、24時間365日施設で生活することが出来ます。 - 「訓練等給付」
自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、自立生活援助、就労定着支援、共同生活援助(グループホーム)
共同生活援助(グループホーム)は障害者総合支援法第5条17項で「主として夜間において、共同生活を営むべき住居において相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を行うことをいう」と定義されています。
厚生労働省の資料によると、グループホームは一つの住居に5人ほどの利用者が住んで、家庭的な雰囲気の中で共同生活をする場所です。
地域生活支援事業
地域生活支援事業は理解促進の啓発や広域支援などを行う事業で、都道府県や市町村などの自治体に委ねられています。
介護保険法と障害者総合支援法の「共生型サービス」の創設
2017年には「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が成立し、2018年からは原則65歳以上方が利用できる介護保険制度と障害者が利用できる障害福祉制度の両方の指定を受けて高齢・障害分野のサービスを一体的に行うことができる「共生型サービス」が創設されました。
共生型グループホームは現在、富山県と宮城県にあります。私にとって理想の施設です。
障害者総合支援法に規定されたサービスの利用方法
申請
市区町村の窓口でサービス利用の申請を行います。市区町村は介護給付認定調査を行い、非該当から区分1〜区分6までの障害支援区分の認定を行います。(区分6が一番支援の度合いが高くなります。)障害支援区分認定の結果によっては、希望する介護給付が受けられない場合が出てきます。認定結果に納得がいかない場合には、申請者は都道府県知事に対して不服審査請求を行うことが出来ます。
訓練等給付の場合には障害支援区分の認定無しで暫定的に支給決定されます。
サービス等利用計画の作成と支給決定
申請が受理されると指定特定相談支援事業者の相談員によって面接が行われ、サービス等利用計画案が作成されます。介護給付はサービス等利用計画案の内容が適切であると判断された場合に、訓練等給付の場合は実際にサービスを利用して適しているかが確認された上で、正式に支給決定がされます。
支給決定されると、申請した障害者に受給者証が交付されます。受給者証が交付されたら、サービス事業者と契約を結び、サービスを利用開始します。
介護給付と訓練等給付のサービス利用者負担額
障害者総合支援法の障害福祉サービスは原則「1割」負担で利用できます。さらに、利用者負担額には世帯の負担能力に応じた上限額があります。この場合の世帯の範囲は、18歳以上の障害者(施設に入所する18、19歳を除く)は「障害のある方とその配偶者」、障害児(施設に入所する18、19歳を含む)は「保護者の属する住民基本台帳での世帯」となっています。
※利用者負担上限額につきましては、厚生労働省のホームページをご確認ください。
実費負担が別途あります!
日中系・居住系のサービスで提供される食費や光熱水費、共同生活援助(グループホーム)の家賃などについては、実費負担が発生します。ただし、全国統一で1万円(家賃が1万円以下の場合は実費)の補足給付が行われます。また、入所施設の食費・光熱水費の実費負担を軽減するため、少なくとも手元に2万5,000円がのこあるように補足給付が行われます。対象となるのは、生活保護受給世帯及び市町村民税非課税世帯になります。
障害者の住まいの現状
障害者総合支援法が施行されたことにより、障害者の住居は入所施設から地域のグループホームへと移行してきており、グループホームの利用者数は増えています。
また、障害者総合支援法に規定された居宅介護(ホームヘルプ)のサービスを利用して1人暮らしをしたり、グループホームの施設の支援員が定期的に巡回するサテライト型グループホームに住んで1人暮らしをしたりと、障害者の住まいは多様化してきています。
まとめ
障害者総合支援法が施行されたことで、障害者が地域で暮らせる仕組みが整えられてきたことが分かりました。グループホームが増えてきていることも知り、本当に有難く思います。
また、高齢者と障害者が一緒に暮らせる施設が出来てきているということも嬉しいニュースです。
障害者の地域での暮らしを支えてくださっている、介護に携わる方々の待遇も改善されて、介護業界が安定したものになると良いと思います。
読んでくださり有難うございました。