私は手をつなぐ親の会に入会しています。以前、手をつなぐ親の会から子どもの様子を記録するノートをいただき、障害の状況を記録しておくことが大切だというお話を伺いました。今回は記録の必要性と記録の方法について綴らせていただきます。
障害の記録はなぜ必要なの?
障害年金を申請する時のため
子どもの頃(20歳になる前)から障害がある人は、国民年金法第30条の4の1項目により障害基礎年金の対象になります。20歳になった時以降に市区町村の窓口で障害基礎年金の申請をし、審査により障害の状態が1級または2級であると認定されれば障害基礎年金を受給することが出来ます。なお、金額は変わることがあるため、日本年金機構のホームページにてご確認ください。
20歳前障害基礎年金を受給するには、次の要件を満たす必要があります。
- 初診日要件
障害に関わる疾病について初めて医療機関を受診した日(初診日)が20歳より前にあることを証明するために、その初めて受診した医療機関にて「受診状況等証明書」を作成してもらいます。ただし、先天的に知的障害がある場合には初診日は出生日となるため「受診状況等証明書」は不要です。知的障害がない発達障害の場合には、「受診状況等証明書」が必要になります。 - 保険料納付要件
先天的に知的障害がある場合など、初診日が20歳より前である場合には保険料を払うことが出来ないため、要件はありません。 - 障害状態該当要件
20歳になる前から障害があることを証明するために、「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」の書類を用意して、市区町村に提出する必要があります。「診断書」は医師に作成していただきます。「診断書」を医師に作成していただく場合には、「単身で生活するとしたら可能かどうか」で判断していただきます。「診断書」には①適切な食事、②身辺の清潔保持、③金銭管理と買物、④通院と服薬、⑤他人との意思伝達及び対人関係、⑥身辺の安全保持及び危機対応、⑦社会性 の項目があります。医師に「診断書」を依頼する際には口頭で障害の状況を伝えるだけではなく、①から⑦までの項目についてどのような状態なのかを分かりやすく箇条書きで記した書類を渡して伝えた方が良いです。また、厚生労働省から障害の等級に関するガイドラインが出ています。「診断書」には就労状況についての記入する欄があります。ガイドラインを参考に、就労状況についても雇用主による管理・指導がどのように行われた上で業務を行えているかなどを医師に書面で伝えることが重要です。「病歴・就労状況等申立書」は申請者が記入して提出します。「診断書」と同様に、単身で生活したと仮定した上で記入します。
親なき後、子どもについて代弁するため
ほとんどの親が子どもよりも先にこの世を去ります。長く一緒にいられたら幸せなのですが、いつまで一緒にいられるかは分かりません。親が生きていても認知症になってしまって、子どもを守ることが出来なくなる日も来るかもしれません。
親が認知症になってしまったり、子どもを残してこの世を去ってしまった時、障害がある子どもは施設や地域社会で暮らしていかなければなりません。子どもに知的障害がある場合には、子どもは自分のことを説明することが出来ないかもしれません。食物アレルギーや服薬している薬のこと、既往歴、てんかん、パニックを起こしやすい原因、通所している施設、人間関係、予防接種歴など、子どもが周りの人たちに伝えなければいけないことが沢山あると思います。
そういった子どもの障害に関する情報を1冊のノートに記録して残しておけば、それを見て周囲の方が子どもを支援することが出来ます。
子どもの記録を残す方法
「親心の記録〜支援者の方々へ」
我が子は現在、特別支援学校に通っています。先日、学校から「親心の記録〜支援者の方々へ」というノートが配布されました。
「親心の記録〜支援者の方々へ」というノートは、一般社団法人 日本相続知財センターが無料配布しています。
「親心の記録〜支援者の方々へ」のノートには、障害者手帳についてや、緊急連絡先やアレルギーやてんかんなどの医療情報、通っている医療機関や施設、生活スタイルや日常生活動作の出来ることや配慮について、本人のコミュニケーションの取り方などを記録することが出来ます。
「親心の記録〜支援者の方々へ」の配付場所は日本相続知財センターのホームページに記載されているので、ご確認ください。
まとめ
私は子どもが生まれた時からの状況をノートに記録し始めましたが、日々があっという間に過ぎていくので更新していくのが大変です。しかし、記録を溜めてしまうともっと大変になってしまいます。忘れてしまうこともあるし、書類を紛失してしまうこともあります。だから、発達検査を受けた時や医療機関を受診した時、通所している施設が変わった時、学年が変わった時などには、折を見て記録するようにしています。
我が子はまだ10歳ですが、10年間はあっという間でした。親なき後のその日がくるのはまだまだ先のことだと思っているので、現在は何も準備できていません。しかし、記録だけは今から出来ることなので私は始めました。
「親心の記録〜支援者の方々へ」をお持ちでなければぜひお取り寄せいただき、ご活用ください。
読んでくださり有難うございました。