私は介護未経験ですが「介護福祉士実務者研修」を受講しました。「介護福祉士実務者研修」の申し込みをしたとき、「介護職員初任者研修」を受けずに実務者研修を受講して大丈夫なのかと心配しました。しかし、無事に修了することが出来たので、研修の内容について記事にさせていただきます。
私が初任者研修を受けずに実務者研修を受けた理由
「介護職員初任者研修」とは、介護技術を学ぶ入門研修です。
一方、「介護福祉士実務者研修」は介護の専門家として働き続けるための介護技術をしっかりと身に着けることが出来る研修です。しかし、介護未経験・無資格者でも受講することが出来ます。
私は介護未経験ですが、カイゴジョブアカデミーの「介護福祉士実務者研修」をいきなり受講しました。その理由は次の通りです。
「実務者研修」の方がスクーリングの回数が少ないから
スクーリングの前に通信課題を提出する
「介護職員初任者研修」も「介護福祉士実務者研修」も、スクーリングが始まる前に自宅学習(通信課題)を完了する必要があります。
通信課題はWeb上で選択問題を回答して8割以上を取ると合格できます。「介護職員初任者研修」を修了した人が介護福祉士実務者研修を受講する場合、通信課題のうち半分くらいの履修科目が免除されるため、無資格で受講する人よりも通信課題が少なくなります。
スクーリングは実務者研修の方が回数が少ない
私が通ったカイゴジョブアカデミーの「介護職員初任者研修」は、朝から夕方までの講義に15回通うスケジュールが組まれていました。しかし、「介護福祉士実務者研修」は朝から夕方までの講義に8回通うスケジュールです。
私は障害児を育てていて、「介護職員初任者研修」を受講するために週末15回(約4か月間)も留守にすることが難しかったのですが、8回ならなんとか通学出来るかと思ったので、「介護職員初任者研修」を受けずに「介護福祉士実務者研修」を受講することにしました。
「実務者研修」修了が介護福祉士の受験の条件になっているから
平成28年度の「介護福祉士国家試験」から受験資格として、実務経験3年以上に加えて「介護福祉士実務者研修」の修了が必須となりました。
「介護福祉士国家試験」を受験する場合には、「介護職員初任者研修」を修了していても結局「介護福祉士実務者研修」を後から受講して修了する必要が出てきます。「介護福祉士国家試験」を受験することを考えているのであれば、初めから「介護福祉士実務者研修」を受講しておいても良いと思います。
なお、「介護福祉士国家試験」を受験するための実務経験の種類は公益社団法人社会福祉振興・試験センターのWebサイトに掲載されています。
喀痰吸引や経管栄養の研修が受けられるから
以前、医療的ケアの研修を受けた感想についての記事を掲載させていただきましたが、介護福祉士実務者研修を受講すると喀痰吸引や経管栄養の医療的ケアの研修を受けることが出来ます。
介護福祉士が医療的ケアを行うには、都道府県知事等が行う「喀痰吸引等研修」を修了し、都道府県に登録して「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受ける必要があります。「介護福祉士実務者研修」には、都道府県知事等が行う「喀痰吸引等研修」のうちの1.基本研修(①50時間の講義+②シミュレーター演習)の内容が含まれているので、実務者研修を修了した人は残りの2.実地研修のみを受講すれば「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受けることが出来ます。※詳細は厚生労働省のWebサイトをご確認ください。
介護福祉士実務者研修の内容と感想
ここからは、私がカイゴジョブアカデミーの「介護福祉士実務者研修」を受講した感想です。
自宅学習(通信課題提出)
カイゴジョブアカデミーの「介護福祉士実務者研修」の場合、スクーリングが始まる約1か月前にテキストと「受講の手引き」等が自宅に郵送されて来ました。そのテキストを読みながら介護について学習し、eラーニングか郵送で通信課題を提出します。通信課題は問題は5択から正しい答えを1つ選択するような形式で、「介護職員初任者研修」を受講していない私の場合、通信課題の全ての問題数は564問ありました。各科目で80点以上取れると合格です。80点取れなくて不合格になっても、同じ科目の問題を再度解いて80点取れたら合格になりました。eラーニングの場合はすぐに結果が分かるし、すぐにやり直すことが出来るので、勉強しやすかったです。
私は子どもが寝ている早朝や夜など、時間を見つけて通信課題に取り組みましたが、半月くらいで全ての通信課題を修了することが出来ました。未経験で「介護職員初任者研修」を受けていなくても問題無く出来ました。
スクーリング
1回目(アセスメント表作成)
私と同じクラスの方が12名いらっしゃいました。その12名の受講生を2つのグループに分けてグループワークをしました。
課題はその日に配布された「在宅生活を続けたいと望んでいる片麻痺のある高齢者ーAさん」についてのA4用紙5枚の資料に箇条書きで記されている情報を「要介護状態区分」、「障害の状況」「服薬」「身支度」「移動・移乗」などの項目に分類・整理しました。
2回目(アセスメント表作成)
スクーリング1回目のAさんの課題を引き続きグループワークで取り組みました。1回目のスクーリングでまとめたAさんの情報を深堀して、Aさんの介護における課題や優先順位についてグループで話し合って、アセスメント表にまとめました。
3回目(介護実習)
1回目、2回目にグループで話し合ったAさんの課題について、実習が始まりました。座学が終わったので、この日から服装は動きやすい服装で参加することが求められていました。
グループになって、自分がAさんのように片麻痺であるという設定で、ベッドから起き上がって、パジャマを着替えたり、安定座位から立ち上がったりする動作を実演したり、グループの人と交代でAさんの介助をする演習をしました。その後、グループの人とペアになって車椅子を押す練習をしたり、杖歩行の介助の演習をしました。
4回目・5回目(指示書作成、演習)
4回目のスクーリングでは、1回目から3回目に引き続きAさんの事例で、Aさんの介護計画書と外出と食事介助についての手順書をグループで話し合いながら作成して、それをグループのメンバーとAさん役と介助者役を交代しながら演習しました。実演する際には、Aさんが安定座位で座れるように声を掛けたり、杖を持って歩いているAさんの歩行介助する時の介助者の位置に気を配ったりしました。
5回目のスクーリングでは1回目からグループで検討してきたAさんとはまた違う症状のBさんの事例について、グループで手順書を作成して、4回目と同様に演習しました。
6回目(評価試験)
筆記試験(午前中)
スクーリングの初日に講師の先生がテキストの中から重要な内容についてまとめた「総復習集」をいただいていました。筆記試験は選択式の問題で、主に「総復習集」から問題が出題されていました。70点以上で合格する試験で、一緒に受けたほとんどの方々が1回で合格しました。数名、ギリギリ不合格になりましたが、午前中のうちに追試を受けて、すぐに合格することが出来ました。
実技試験(午後)
実技試験では、4回目と5回目のスクーリングで作成した4通りの手順書から1つ選び、その手順書通りに講師の先生の前で介護の実演をしました。先生は「ベッドの端に座った時に安定座位になっているか」「杖を渡す前に杖の安全点検が出来たか」「歩行介助する時に患側に立って介助できているか」などについて評価していました。実技試験では4つの手順書のうちどの手順書を引くか分からないので、全ての手順書の内容を頭に入れて挑みました。
実技試験も不合格でもその日のうちに再試験していただけたので、全員が合格することが出来ました。
7回目・8回目(医療的ケアの実習)
7回目と8回目は医療的ケアの実習と評価でした。その内容については、「介護未経験の私が医療的ケアの研修を受けた感想について」の記事に掲載させていただいたので、よろしければご確認ください。
【追記】実務者研修の受講料の助成を受けることが出来ました
私が住んでいる自治体では、良質な福祉サービスを提供するため、介護福祉士実務者研修の費用を助成する政策を実施しています。私はその自治体の助成を受けるための条件を満たしていたため、受講料の一部の費用について助成を受けることが出来ました。
助成金の給付以外にも受講資金貸付制度を実施している自治体もあるようです。この場合も、一定の条件を満たせば返済免除の規定があるようです。
また、ハローワークにも教育訓練給付制度があり、給付の対象となる場合には実務者研修の受講料の費用の一部を給付していただけるようです。
まとめ
私が通ったクラスには12名の方が通っていて、そのうち介護未経験の方が私含めて3名いらっしゃいました。私は介護未経験で、「初任者研修」を受けずに「実務者研修」を受講して修了できるか心配していましたが、無事に修了することが出来ました。他の2名の方も無事に修了することが出来ました。
初日、簡単な自己紹介をしました。他の受講生の方々は、訪問介護のお仕事をされている方や、訪問入浴介護のお仕事をされている方、通所介護(デイサービス)で働かれている方など、色々な方がいらっしゃいました。介護未経験の方は普段はオフィスワークをしていて、介護を学びたいという理由で通われていました。
8回のスクーリングで一緒にグループワークをし、他の受講生の方々と仲良くなり、とても楽しく介護を学ぶことが出来ました。また、介護現場についてのお話を伺ったりすることが出来て、有意義な時間を過ごすことが出来ました。
私と同じように介護未経験で「実務者研修」をいきなり受講しようとしている人にこの記事がお役に立てれば幸いです。
(スクールによって内容は異なるかもしれませんので、ご承知おきください。)
読んでくださり有難うございました。