今回は自閉スペクトラム症のある我が子のこだわりと常同行動について綴らせていただきます。
自閉症のこだわり行動とは?
自閉症のこだわり行動とは、自閉症児・者の本人がある特定の状況に著しい執着を示し、それを常に一定の状態に保っていたいという欲求に駆られ、それが変わることや変えられることを極度に嫌だと感じて、反復的にそれを維持しようとする行動のことをいいます。
自閉症のこだわり行動の原因は、脳の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなど)の分泌量の問題など脳の機能障害によって生じているとされています。
こだわり行動の特徴
自閉スペクトラム症の人のこだわり行動には、①変えない、②やめない、③始めないの3つの特徴が見られます。
①変えない
物の位置を変えない、いつも同じ服を着たがる、スケジュールの変更を嫌う など
②やめない
遊びの切り替えが出来ない、ずっと同じ遊びをしたがる、お友達に順番を代われない など
③始めない
初めての場所を嫌がる、使い慣れていないトイレを嫌がる、食べ慣れない食べ物を食べない(偏食)など
こだわり行動の影響
自閉症のこだわり行動があると、それに執着することによって興味が限定されてしまい、本人が色々な物事に触れて発達していく機会が失われてしまいます。
また、こだわり行動に執着しすぎてしまうため周りの人たちと関わりを持つことが出来ず、人間関係も遮断されてしまいます。
さらに、本人のこだわり行動に周りが常に合わせられるわけではないので、周りの人たちも困惑してしまうこともあります。
こだわり行動への対応
乳児期
乳児の頃に自閉スペクトラム症であるということがはっきりと分かることはほとんどありません。しかし、自閉スペクトラム症の赤ちゃんは、なんとなく大人しいとか、人を求めないない、偏食があるなどの症状が見られることもあるので、親は育てにくさを感じることがあるかもしれません。そういう育てにくさは変化を嫌う「こだわり」が原因になって表れている可能性もあります。
上述したような育てにくさがある場合には、赤ちゃんがこだわっている物を尊重してあげたり共感してあげて、その赤ちゃんがこだわっているものに理解を示すことで赤ちゃんに親である自分を信頼してもらい、また、関係が出来てきたら赤ちゃんが喜ぶことを積極的に行って、赤ちゃんと楽しい関係を作ることが大切なようです。
また、離乳食や偏食がある場合には、食べ物の種類や味、固さなどを少しずつ変えていって、少しでも口に入れてくれたら「すごいね!えらーい!」と沢山褒めてあげながら少しずつ食べられる幅を増やしていくのが良いようです。(我が子の偏食は今はほとんど無くなりました。よろしければ偏食の記事をご参照ください。)
幼児期
幼児期には、トイレトレーニングや食事、遊び方、服装など、様々な面でいわゆる「こだわり」が顕在化してくるようです。
幼児期の「こだわり」への対応も、日常の生活や遊びによって、子どもとの人間関係や愛着を育んでいくことによって、徐々に興味が広がっていくよう促していけば良いようです。また、変化に慣れる練習を療育で行っていくのも良いようです。
学童期
学童期には子どもによってこだわり行動の現れ方も対処法も変わってくるようです。こだわり行動の対応は、「止める」だけではなく「褒める」ことにも有効な場合があるようです。
自閉症の常同行動とその対応について
常同行動とは、本人が感覚的な刺激を受けるために自分で繰り返し続ける行動を言います。常同行動は、知的に幼い段階に多く見られ、成長とともに減ってくることが多いようです。(その調査についての記事もありました。)常同行動への対応も、「こだわり」行動の対応のように人間関係を育みながら、本人が他のことに興味を持つように興味を広げたり逸らしたりしていくのが良いようです。※自閉スペクトラム症の常同行動は成長とともに少なくなることが多いようですが、「こだわり」行動は成長しても何らかの形で見られる場合が多いようです。
まとめ
自閉スペクトラム症の「こだわり」は自閉スペクトラム症の人の行動のどこかに現れていて、その内容や数は人それぞれに異なり、度合いや継続時間や期間も異なるので、対応も人それぞれなのが難しいと思いました。
我が子は乳児の頃、抱っこをするときに反り返っていました。目が合いにくいなどのコミュニケーションの障害もあったので、親子の愛着を築くのが健常の子どもを育てるより難しかったと思います。健常の子どもなら「どうぞ」「ありがとう」と物の受け渡しが出来ますが、自閉スペクトラム症のある赤ちゃんだとそれがなかなか出来るようにならないのです。
昔は本人がこだわっているものよりも、母である私自身にも興味を持ってほしいと感じていました。しかし、本人が興味を持っているものを介して私に興味を持ってもらおうと思えば良かったのだと今思い返します。
とはいえ、当時の私も私なりに一生懸命我が子と関わりを持とうと頑張っていました。その時々に出来ることを焦らず、楽しく取り組んでいこうと思います。
読んでくださり有難うございました。