先週、実家の両親から「吊るし柿にしてね」と渋柿をもらいました。私は吊るし柿が好きなのですが、私以外の家族は吊るし柿があまり好きではないので、渋柿を吊るし柿以外の方法で食べられないかを調べました。
調べた結果、「渋柿はリンゴと一緒にしておくと熟して甘くなる」ということを知ったので試してみました。今回はそれについて綴らせていただきます。
渋柿をリンゴで甘くする
渋柿の渋み成分、タンニン
渋柿にはタンニンという水溶性の苦みの成分が含まれているそうです。そのタンニンが口の中に入って唾液に溶けると渋みを感じます。
柿は動物に種子を運んでもらおうとして果実を作ります。しかし、まだ種子が発芽能力を持たない未成熟な段階で動物に食べられてしまっては、柿は種子を運んでもらっても意味がありません。そのため、柿は種子が成熟するまでは渋みのある水溶性タンニンによって動物に食べられるのを防いでいます。
渋柿に含まれているタンニンは種子が未成熟な段階では水溶性の物質ですが、種子と果実が成熟していくにつれて不溶性の物質に変化します。不溶性のタンニンは唾液に溶けないので、食べても渋さを感じません。
果物を成熟させる植物ホルモン、エチレン
渋柿は種子が成熟し実が熟していくと、実に含まれている渋み成分のタンニンが水溶性から不溶性の物質に変化することが分かりました。
渋柿の渋みを無くすには熟させたら良いのですが、調べてみるとリンゴと一緒に袋に入れておけば早く熟すということが分かりました。その時、高校生物で「植物ホルモン」を勉強したことを思い出しました。
植物ホルモン(しょくぶつホルモン)とは、植物自身が作り出し、低濃度で自身の生理活性・情報伝達を調節する機能を有する物質で、植物に普遍的に存在し、その化学的本体と生理作用とが明らかにされた物質のことである。Wikipediaより
さっそく渋柿と一緒にリンゴを袋に入れてみると
さっそく、渋柿をリンゴと一緒に袋に入れて常温の部屋に置いて様子を見てみました。
3日後の晩
3日後、袋を開けて様子を見てみると、固く青みのあった渋柿が柔らかく、オレンジ色に変わっていました。
4日後の晩
4日後、さらに柔らかくなっていたので、再び切って食べてみました。すると、渋みはすっかりなくなって、とっても甘い柿になっていました。
5日後の朝
リンゴと柿をビニール袋に入れてから5日目の朝、甘くなった渋柿をお皿に並べて食べてみました。渋柿は完全に渋さがなくなり、甘くトロトロの完熟柿になっていました。
柿プリンを作ってみました。
6日目の朝、完熟の柿は割れてきました。昨日、素のままで味わったので、形を変えて食べてみることにしました。
調べてみると、柿にはジャムをゲル化する成分のペクチンという成分が含まれていて、柿に牛乳を入れると柿のペクチンが牛乳のカルシウムと反応して固まり、ゼラチンなしでプリンが出来るそうです。さっそく作ってみました。
まとめ
私は今まで渋柿は吊るし柿にして食べるものだと思っていました。それ以外で渋柿を食べる方法を試したことがありませんでした。
しかし、渋柿をリンゴと一緒にビニール袋に入れておくと熟成が進み、渋みの無い甘い柿になることを知りました。
柿が鳥に成熟した種を運んでもらうために、種が未熟な時には動物が口に入れた時に渋みを感じさせるようにして、成熟した段階では渋みを感じないようにタンニンを変化させているということが凄いなと思いました。そして、果実の成熟や落葉にエチレンという植物ホルモンが作用しているということも面白いと思いました。自然の営みには科学があるのですね。
柿プリンを作って食べてみたのも実験のようで面白かったです。柿のペクチンが牛乳のカルシウムと結合して、ゼラチンなしでプリンの食感を作ることが出来ました。
柿をリンゴと一緒にビニール袋に入れて熟させる時も、牛乳と混ぜて固める時も、「出来るのかな〜?」と半信半疑でしたが、実際に形態が変化する様子を見ることが出来て、驚きと喜びを感じることが出来ました。
渋柿を通して生物や化学の実験をすることが出来るので、子どもにもさせてあげたら楽しめるのではないかと思います。
完熟の渋柿はとっても美味しく、ペロリと食べてしまいました。吊るし柿も美味しいですが、リンゴと一緒にビニール袋に入れて完熟させて、スプーンですくって食べるのもとても美味しかったです。
渋柿は秋にしか食べられない味覚なので、来年もまた渋柿を完熟させて食べたいと思います。
読んでくださり有難うございました。