【ヘラルボニー展覧会の感想】社長・副社長の松田崇弥さん文登さんにお会いできました!

2023年5月20日(土)から6月17日(土)まで、ヘラルボニーの展覧会『ART IN YOU』が開催されています。

株式会社ヘラルボニーは2018年7月に設立された企業で、障害のある作家や福祉施設とライセンス契約を締結し、作家らのアート作品をデータ化し、ヘラルボニーのIP(知的財産)として管理しています。自社ファッションブランドのほか、作品のデザインを家具、ホテルの内装などの商品、空港のコンコースなどのサービスに用いたいという企業や団体からライセンス料をもらい、商品などの販売による売り上げの一部がライセンス料として作家に支払われるビジネスを展開しています。
みどり
昨年(2022年)10月、ヘラルボニーの創業者である松田 崇弥さん・文登さんは自叙伝『異彩を、放て』を出版されました。その感想の記事をこのブログに掲載させていただいております。よろしければ『【ヘラルボニー】『異彩を、放て。』を読んだ感想【福祉×アート】』もご覧ください。
『ART IN YOU』の開催初日にはオープニングイベントがも行われました。
松田 崇弥さん・文登さんが作家のストーリーや作品の魅力について語りながら展覧会を巡る『アートクルーズ』や、金沢21世紀美術館チーフキュレーターの黒澤浩美さんと松田 崇弥さん・文登さん、現在もアートマーケットの第一線で活躍する小山登美夫さんによるトークイベント『アートをコレクションする魅力とは』が行われました。
また、三重県の福祉施設「希望の園」に在籍されている作家・内山.Kさん/早川拓馬さん/森啓輔さんの3名によるライブペインティングも実施されました。
私は開催初日に展覧会に行き、松田 崇弥さん・文登さんにお会いして少しでしたがお話をすることが出来ました。今回は展覧会で観た作品の魅力と松田 崇弥さん・文登さんにお会い出来た感激を記事にさせていただきます。
松田 崇弥さん、文登さんにお会いすることが出来て歓喜しました!最近、オランダのアムステルダムとフランスのパリに視察に行かれたとTwitterで読んだので、そのお話も少しお伺いすることが出来ました。私の子どもに知的障害があることもお話したらとても真摯に聴いてくださり、真面目で優しいお人柄が伝わってきました。

トークイベント『アートをコレクションする魅力とは』

トークイベントでは、金沢21世紀美術館チーフキュレーターの黒澤浩美さんと松田 崇弥さん・文登さん、現在もアートマーケットの第一線で活躍する小山登美夫さんがアートをコレクションする魅力について語られました。

トークイベント『アートをコレクションする魅力とは』の様子です。手話通訳もあり、ヘラルボニーのバリアフリーの姿勢も見て取れました。

「自宅やオフィスなどの場所にアートがあるとその空間が居心地の良いものになる」、「自分の『好き』という気持ちを大切にして、作家さんをよく知った上で作品を選び、コレクションしたら良いと思う」というような内容だったと思うのですが、私の心に残ったのは「作家さんは霞を食べて絵を描いているわけではない」という言葉でした。

「作家さんが絵を描き続けるには画材も買わないといけないし、生活していくためのお金も必要なんだ」と当たり前のことに気付かされ、ヘラルボニーは福祉にビジネスを介入させて障害のある方々のアート活動を支援したいんだという姿勢を改めて感じることが出来ました。

数々の素敵な作品の中から「私の日々の生活に彩りを与えてくれそうな『好き』な作品はあるかな?」という目で作品を鑑賞しました。

展示会で観た作品の一部をご紹介

ここからは展示されていた作品の一部をご紹介させていただきます。あなたの家のリビングに飾りたい絵、あなたの働いているオフィスに飾りたい作品はありますか?

『大阪ナイトクルーズ』衣笠 泰介
『春の旅』衣笠 泰介
みどり
私は衣笠泰介さんの2つの作品にとても惹かれました。衣笠さんは国内外で高い評価を受けていて、京都市内にある「ギャラリーミラクル」を拠点に、東京・京都・沖縄・札幌・大阪・岡山・ニューヨークなどで個展を開催していらっしゃるようです。リビングにお気に入りの一枚を飾りたいなぁ♡
『筑波山』坂本 大知
『筑波山』を拡大した写真です。様々な色のペンで描かれているようでした。絶妙な色彩だと思います。
みどり
坂本 大知さんの『筑波山』もとても爽やかで素敵な作品だと思いました。坂本さんは茨城県の特別支援学校を卒業後、「自然生クラブ」というNPO法人が運営している生活介護の施設に在籍されて、有機農業とダンスや歌、絵画などの表現活動を日々行っていらっしゃるようです。素敵な施設ですね!
『踊りながら列車通過』早川 拓馬
離れてみると、電車の人が浮かび上がってくる面白い絵ですね!電車を大きな電車の腕で抱いていて、電車への愛に溢れています。
『踊りながら列車通過』を拡大した写真です。細部まで細かく描かれていて、描かれている人物がとても楽しそうです。電車が大好きな様子が伝わってきます。
みどり
早川さんは三重県にある「希望の園」という生活介護の施設に在籍されています。幼少の頃から国内外の展覧会やコンクールに多数出展しているそうです。幼い頃から才能の芽が開花していたのですね!駅に飾ってあったら子どもから大人まで楽しい気持ちになれそうです。
『太陽と富士山』伊藤 大貴
みどり
伊東 大貴さんは埼玉県にある「NPO法人あいアイ」に所属して創造活動を行っていらっしゃるようです。富士山が高貴で独特な表現で描かれていて、太陽から元気なエネルギーをもらえそうな素敵な絵だと思います。
『無題』GAMON
『無題』GAMON
みどり
GAMONさんは広島県にある「一般社団法人HAP」の就労継続支援B型施設に在籍して絵を描いていらっしゃるようです。エスニックな色使いが面白いですね!現代アートって飾るシチュエーションによって好きな絵を選んで楽しんだら良いのでしょうね。
『お城』大家 美咲
みどり
大家 美咲さんは滋賀県にある「やまなみ工房」という就労継続支援B型と生活介護の施設に在籍されて創作活動をしていらっしゃるようです。「やまなみ工房」は同工房で製作された素敵なアートに囲まれた素敵なカフェもあってオシャレだなと思いました。大家さんの作品のほとんどが「お城」がテーマで、三角形や四角形を規則的に重ね合わせて色を塗り積み上げてお城の絵が描かれています。色彩が素敵なので、オシャレなカフェやギャラリー、オフィスのエントランスに飾られたら素敵だと思います。
『と・と・と』藤田 望人
『apples』藤田 望人
みどり
藤田 望人さんは「社会福祉法人幸福会やまびこ広場」の生活介護施設に通所されています。重度知的障害を伴う自閉症で、ロゴマークや文字に強いこだわりを持ち、小学生くらいから好きなものを絵に起こすことをほぼ毎日行っていらっしゃるそうです。多動もあって常に歩き回っていらっしゃるそうですが、突然座ったかと思うと描きだすというスタイルで絵を描かれているそうです。私は色彩とか構図がユニークで気に入りました。POPでオシャレなお洋服ブランドのお店などに飾ってあったら素敵だと思います!
『マックィーンクワガタの地図』内山.K
『マックィーンクワガタの地図』の拡大の写真です。とても細かく、多分ペンで塗られていました。
『トリケラパークの地図』内山.K
みどり
内山.Kさんは三重県にある「希望の園」に在籍されています。とても精緻な模様の地図の絵が特徴的ですね!個人的には『トリケラパークの地図』が爽やかな色彩で、ホテルのフロントとかに飾ってあったら素敵かなと思います。私が描いたとしてもこんなに高級感が出ないから、やっぱりアートとしての価値が高いのだと思います。
『正己地蔵』山際 正己
みどり
山際 正己さんは滋賀県にある「やまなみ工房」に在籍して、炊事・洗濯・部屋掃除・古紙回収などのルーティンをこなしながら創作活動をされています。代表的な作品『正己地蔵』はこれまで20年以上変わることなく制作され、作品は何十万体も超えているそうです。見ていると楽しい作品ですね!

ライブペインティング

トークライブの後に三重県の福祉施設「希望の園」に在籍されている作家・内山.Kさん/早川拓馬さん/森 啓輔さんの3名 によるライブペインティングが実施されました。

みどり
松田 文登さんが作家さんをリスペクトしているのが伝わってきます。ヘラルボニーのサイトでは今回展示されていた1点ものの絵画が実際に販売されていて、内山.Kさんの作品『トリケラパークの地図』は税込660,000円で販売されています(2023年5月21日時点)。作品がリスペクトされた価格ですね!個人でも法人でも購入するか悩んだり検討するお値段なので、本当に「好き♡」という気持ちがないとなかなか購入を決められませんね。私が本気で手に入れるなら、衣笠 泰介さんが描かれた『大阪ナイトクルーズ』がいいです♡

まとめ

ヘラルボニーの展覧会『ART IN YOU』を観にいって、作品の面白さや素晴らしさを感じることが出来ました。

前に『イスラエル博物館所蔵印象派・光の系譜展に行って、レッサー・ユリィの絵画に惹かれました』の記事に書かせていただいたのですが、私も絵を観て「え!凄い!好き!」と直感的に心惹かれる瞬間がとても好きです。

障害者の方々が描かれた作品は絵を学ばれた健常者の方々が描かれた作品とは違うのかな?と考えたのですが、やっぱり違う魅力があるのだと思います。障害のある方々は、健常者の方々が理論や通常の認識に基づいて描くのとは違う描き方で絵画を描かれるのだと感じます。(私は障害者施設で働いていて、障害者の方々が絵を描く姿を観ながらそう感じます。)

ものすごい集中力だったり、独特の色彩感覚や物の形を捉える力だったり、連続性に対するこだわりだったり、そして健常の人よりも真っ直ぐでピュアな心が、私たちの心を惹きつけて新しいインスピレーションを与えるような絵画を生み出しているのではないでしょうか。

ヘラルボニーは障害者の方々の作品のアートとしての価値を最大限に引き出し、作家をリスペクトして創作活動を支援する姿勢を持っていると感じました。

読んでくださり有難うございました。

文登さんが本にサインをくださいました。文登さんにこのブログに『異彩を、放て』の感想を載せていることを伝えることが出来てとても嬉しかったです。ヘラルボニーの活動をこれからも応援しています!

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