自閉スペクトラム症の我が子は3歳くらいまでお昼寝も夜もなかなか寝ませんでした。また、夜中に突然起きてギャーと30分くらい泣いていることが4歳くらいまでありました。今回は我が子の幼児期の睡眠障害について綴らせていただきます。
睡眠のメカニズム
体内時計
新生児期は3〜4時間眠ってはおっぱいを飲んで、また3〜4時間眠るという多相性睡眠のリズムで過ごします。生後3か月頃から次第に昼間に起きている時間が長くなり、生後6か月頃になると夜の睡眠と午前1回午後1回のお昼寝にまとまっていきます。1歳を過ぎると午前中のお昼寝がなくなって午後1回だけのお昼寝のリズムになっていきます。5歳6歳くらいになると夜だけ眠る約24時間の体内時計が形成されます。
体内時計は太陽光を浴びることでリセットされます。太陽光を浴びてから12〜13時間は代謝が高められ、体温や血圧が高めに維持され活動するのに適した状態になります。約14時間から16時間すると後述するメラトニンの分泌が始まり、手足の末端から熱放射が盛んになり脳の温度が下がり、眠気が生じます。そのため、カーテンを閉めきった暗い部屋で一日過ごると朝になってもメラトニンが減少しなくて眠くなったり、体内時計がずれて入眠時刻が遅くなったりします。
また、食事も体内時計に影響します。朝ごはんを抜くと血糖値が上がらず血圧が低いままで体が目覚めません。また夜遅くに食事をとると、体が活動モードになってしまうため入眠時刻が遅くなってしまいます。
メラトニン
夜間にはメラトニンというホルモンが脳の松果体から分泌されます。メラトニンは日中は分泌されず、夕方暗くなってくると分泌が始まり、深夜にピークを迎え、朝には分泌が終わるという日内変動を呈します。メラトニンには眠りを促す作用があり、一定の濃度に達すると眠りにつき、メラトニンが一定の濃度より減少すると眠りから目覚めます。
メラトニンの分泌は光によって抑制され、光の波長のうち青色光が最もメラトニンの分泌を抑制することが研究により明らかにされています。また、子どもは大人のよりも光によるメラトニン分泌の抑制の影響が大きくなります。そのため、夜の遅い時間にスマートフォンやテレビ等の光に曝されると、体内時計がずれて夜型化が促進され、さらにメラトニンの分泌も減少して不眠がもたらされます。
疲れた分だけ眠る(睡眠物質)
起きている間、脳や体は熱くなり、疲れ(睡眠物質)や熱が蓄積していきます。すると、脳や体を休ませて熱を下げるため、恒常性維持機能(ホメオスタシス)が働き、眠たくなります。
睡眠の役割
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠はレム睡眠(Rapid Eye Movement)とノンレム睡眠(Non-Rapid Eye Movement)に分けられます。
レム睡眠の間は寝ている間も眼球が動き、夢をみたり、外の音などが聞こえたりしている状態の睡眠で、全身の筋肉は完全に緩んで休まっている状態ですが、大脳は活発に活動し、学習したことを固定したり記憶を消去したりしている状態の睡眠です。
ノンレム睡眠の間には眼球が活発に動かず大脳も休んでいる状態で、ノンレム睡眠の間には成長ホルモンが分泌され身体が成長し、また免疫機能や代謝機能も強化されている状態の睡眠です。ノンレム睡眠の深さは浅い1〜深い4まであります。
眠りにつくと、まず1〜2時間ほど深いノンレム睡眠に入り、次には眠りが浅くなってレム睡眠に移行します。その後約1時間半ごとにノンレム睡眠→レム睡眠という周期を4〜6回繰り返します。
自閉症の我が子の睡眠障害
子どもにとって睡眠は健全な成長・発達においてとても重要ですが、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)のある子どもは健常の子どもよりも高い確率で睡眠障害があるそうです。
寝付けない(不眠症)
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは健常の子どもより不眠症の有病率が高いと言われています。夜間のメラトニン分泌の低さや、光に対する感受性の異常、寝具や衣服の違和感や家電製品の稼働音や振動音などに対する感覚過敏、心理的特徴である過集中などが原因として挙げられています。
睡眠時驚愕症(夜驚症)
我が子は4歳くらいまで夜驚症がありました。2歳頃には2か月に1回くらい、その後は段々と頻度が少なくなり、4歳くらいには年に3回くらいだったと思います。
深夜1時から2時頃に突然ギャーッと泣き叫んで起きて体をよじらせていました。電気を点けてなだめても、私の声が耳に入っている様子がなく、我が子は心臓がバクバクした状態で顔を真っ赤にして泣き叫んでいました。大体15分くらいで落ち着きを取り戻していましたが、長い時には30分以上も興奮して泣いていました。
まとめ
我が子の寝かしつけが大変だったことを久しぶりに思い出しました。
自閉症の我が子は不眠症や夜驚症がありました。注意欠陥多動性障害(ADHD)のある子どもはむずむず脚症候群や周期性四肢運動障害という睡眠障害がある人の割合が多いそうです。発達障害のある子どもは睡眠障害を併発している人が多いということを知り、発達障害のある子どもの子育ては大変なんだなぁとつくづく思いました。そして、発達障害のある本人が一番大変なのだろうと思いました。
我が子は最近は21時過ぎに私が消灯するとすぐに寝ますが、私が消灯しないとダラダラと起きています。子どもにとって睡眠は成長に欠かせない重要なものだと分かったので、子どもが毎晩十分に睡眠がとれるように規則正しい生活リズムを作っていこうと思います。
読んでくださり有難うございました。
〇規則正しい時間に起きて朝日を浴びて朝ごはんを食べる
〇日中は元気に活動し、体と脳をいっぱい使う
〇夜は早めにご飯を食べる
〇寝る前1時間はテレビやスマホを観ない
〇規則正しい時間に布団に入る