我が子は知的障害を伴う自閉スペクトラム症と診断されています。今回の記事では自閉スペクトラム症のことを簡単にご説明させていただきます。
自閉スペクトラム症とは…十人十色!
自閉症の症状とは?
自閉症の症状とは次のような症状があると一般的に言われています。なお、自閉症のうち、知能が正常で、言語発達に問題がないものを「アスペルガー症候群」といいます。
コミュニケーションの難しさ | ・言葉を覚えても、コミュニケーションのために使うことが少ない。 ・ひとりごとと反響言語(おうむ返し)、同じフレーズの反復などが多い。 |
対人関係の難しさ | ・他人に関心を持ったり、相手の気持ちを思いやるということが難しい。 ・自分の気持ちや興味を他人に伝えようとすることが少ない。 |
独特なこだわり | ・ある特定の環境、設備、ものへの強い執着を示したり、外出の道順や日課などに一定の決まりをつくり、それに固執する。 ・長時間にわたる同じ遊びの繰り返しや常同運動、奇妙な癖などが見られる。 |
注意欠陥多動性障害(AD/HD)の症状が見られる人もいます
「注意欠陥多動性障害(AD/HD)」とは、極端に注意力が欠け、また多動や衝動性が見られる障害のことです。主な症状は不注意・多動性・衝動性とされ、次のような例が挙げられます。
不注意 | ・約束をすぐに忘れる、忘れ物が非常に多い ・物を片付けることを忘れる |
多動性 | ・相手の話を最後まで聞かない ・落ち着きがない、順番が待てない |
衝動性 | ・かっとなると手が出る、突然走り出す ・かんしゃくを起こす |
学習障害(LD)を伴う人もいます
「学習障害」とは、全般的な知的発達に遅れはなく、視聴覚障害がなく教育環境に問題がないにも関わらず、聞く、書く、話す、読む、計算する、推論するなどの能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態をいいます。
知的障害を伴う人もいて、知的障害の程度も様々です
知的機能は知能検査によって測られ、次の式により程度が分類されます。
知能指数(IQ)=精神年齢(発達年齢)÷生活年齢(実年齢)×100
IQ50〜69は軽度知的障害、IQ35〜49は中等度、IQ20〜34は重度、IQ20未満は最重度とされています。
症状が十人十色だから、子育ても十人十色
私はこれまで自分の子どもを育てたり、子どもが通った幼稚園や現在通っている特別支援学校で、そして療育や職場などで沢山の自閉スペクトラム症の子ども達に出会って来ました。
自閉スペクトラム症の子ども達は、発語やコミュニケーションの様子、知的障害や多動やこだわりや感覚過敏の有無や程度、年齢、性別などによって、全員が全員全く違う個性を持っています。そして、それぞれの子ども達の保護者は皆子どもの症状に合わせての対応が必要となっており、それぞれに異なる子育ての難しさを抱えていると思います。
発達すれば解消するという問題でもなく、新しいこだわりが生まれたりもするので、自閉スペクトラム症の子育ては一筋縄ではいかないと感じます。
小学校の進学先の選択と同じように、学校卒業後の進路など将来にわたって、子どもの症状に合わせてどんな支援が今必要なのかを考えていかなければならないのだと思います。
障害のある子どもの育児について私の思うこと
最後に、自分の子どもを育ててきたことや、保育園や幼稚園で働いて接してきた子ども達の様子を振り返りながら、私なりの障害のある子どもの育て方を綴ろうと思います。
まず、障害児は知的障害があったり、手先が不器用だったりするため、健常児と同じように、同じ早さでは成長しない場合もあると思います。
保育の言葉に「レディネス」という言葉があります。「レディネス」とは、「学習や習得を行う場合に学習者側に学ぶために必要な条件(知識、経験、技術、態度、身体発達など)が整っている状態」という意味です。「レディネス」は学習や習得の前提条件です。子どもの発達の成熟度はそれぞれの子どもによって異なるので、「レディネス」が整っていない状態で色々と教えることは有効ではないと思います。焦ること、人と比べることは自分と子どもを消耗させてしまうと思います。
これまで、我が子にも色々と教えようとしてきましたが、出来ない時には出来ませんでした。しかし、振り返ってみれば沢山のことが出来るようになっています。人との関わりについても、昔は全く私の言葉が耳に入っている様子は無かったのですが、今では言葉を理解し、お互いに目を見て簡単な言葉で意思疎通したり、私のお手伝いまでしてくれます。昔に比べて、今の方が私と子どものお互いの愛着や愛情が深まって、温かい関係が出来ています。
それから、障害があっても子どもは褒められたいと思っています。失敗すると悔しそうだし、悲しそうです。
自閉症の子どもは人一倍、失敗や不快に敏感だなぁと感じることがあります。幼稚園でも、沢山暴言を吐いて暴れていた子どもに対して「〇〇はとても良い子だよね。私〇〇が〜することを見ていたよ。とても優しいいい子だね」と褒めて頭をなでて認めてあげていると、とても素直な顔つきに変わっていきました。「自己肯定感」という言葉をよく聞くようになりましたが、障害のある子どもは自分の苦手なことや出来ないことに対して苛立ちを持ち、自己肯定感を下げてしまいがちだと思います。親として、我が子の良いところを沢山肯定してあげて、無条件に愛してあげられたら良いなと思います。
読んでくださり有難うございました。